後半の、最初の競技の説明が終わった。
 ……『ベスト最強カップルコンテスト』……その名に相応しい競技内容だった。
 二人三脚障害物レース……ここまでなら問題は無い。体育祭とかでもありそうな競技だと思う。
 勿論、普通の二人三脚な訳が無い。
 普通じゃない理由……それは『妨害あり』ってことだ。
 レース前に各チームがくじを引き、それに書いてある武器を使用して他のチームの妨害をしても良いらしい。
 レースのスタート地点。用意された武器が入っている箱が置いてある。
 ……なんか釘バットとか見えてるんですけど。ヘタしたら死人が出るんじゃないか?
 レースは五組ずつ行い、各レースの一位の組が集まって決勝レースをする。
 決勝に出たチームは、そのレースでベリになったとしてもポイントが入る。逆に言えば決勝に出れなければポイントはゼロってことだ。
 
『それでは組み合わせのくじを引いてくださ〜い!』

 司会のお姉さんがくじの入った箱を持ちステージに立つ。

「ルミナ引いてきてくれ」
「わかったぜー!」

 ルミナは嬉しそうにくじを引きに駆けて行った。
 ルミナは一番最初にくじを引いた。ルミナが引いたくじを見たお姉さんがステージに設置された組み合わせ表に書き込む。
 オレ達は『C』……つまり三番目のレースになった。
 次々に他のチームもくじを引く。

「引いてきたぜー!」
「ああ、ありがとな。順番的には良い感じの位置だ」

 戻ってきたルミナに礼を言う。
 うん。順番的には良い。一番最初はどんな感じになるか見ておきたかったしな。
 あとは同じ組にどのチームがくるか……だよな。
 そんなことを考えているとリルがくじを引く番が回ってきた。
 リルが引いた組は……『D』だった。
 
「よしっ! 別の組だ!」

 それを見てオレは拳を握る。

「次は、はるちんが引くみたいだよ〜!」

 ルミナの言葉に握り締めていた拳はそのままにくじの方に視線を移す。
 悠がくじを引いていた。
 悠が引いたくじを受け取り表に記入するお姉さん。
 オレはお祈りするように手を合わせ目を瞑った。

「はるちんも違うみたいだねー!」
「――――マジかっ!?」

 目を開けて表を確認する。
 悠たちは『A』……ルミナの言う通り、違う組だった。
 ……や、やった! これで決勝にいける確立はかなり高くなったぞ。
 
「でも、このままだと決勝で両方と当たっちゃうね〜」

 …………。
 そうだった……結局当たるんだった。
 悠チームとリルチーム……多分、つか絶対決勝くるよな……。
 でも……勝つしかないよな!
 賞金と賞品を手に入れるためには。
 それからすぐに、全チームがくじを引き終わった。


 ☆ ☆ ☆

 Aグループがスタート位置につく。
 それぞれくじで決めた武器を所持している。
 悠チームはモデルガン。
 
「はるちん大丈夫かな〜?」
「悠に店長がついてるんだぜ……大丈夫に決まってるだろ」
「そうですよね……店長が居ますもんね」

 オレの言葉にリルが同意する。
 オレ達は一緒に座って観戦していた。

「大丈夫だと思いますけど……抽選の時からずっと悠ちゃんを睨んでるあの人は知り合いでしょうか?」

 さくらがあるチームを指差す。
 さくらの指の先に視線を移す……そこには、

「な、なんだ……あのチームは……」
「怪しさ全開ですね」
「カッコいーぜー!」

 そのチームを見てオレとリルは唖然とする。
 それは覆面を被ったチーム……覆面で表情はよく解らないけど、女の子の方が確かに悠を睨んでいるみたいだ。
 そのチームの持っている武器は……釘バット。

「ナオ! アタシ達もアレ被ろうぜー!」
「絶対いやだ……」

 あれのどこがカッコいいのか……ルミナの感性はよく解らない。

『よ〜〜〜い…………』

 パァ――ン……とスタートの合図が鳴った。
 スタートと同時に、さっきの覆面の女の子が釘バットで悠に殴りかかった。男の方はいきなり動き出した女の子についていけず、引きずられている。
 悠はバットをモデルガンで受け止める。
 壊れないとこからすると相当に強度の高いモデルガンらしい。
 
「店長っ!」
「OKよ〜」

 店長と目を合わせる悠。
 それと同時にバットを受け流した悠は女の子に向かって弾を撃った。

「くっ――!」

 女の子が交わした瞬間、完璧に息の合った悠と店長は物凄い勢いでゴールに向かって走りだした。
 先を走るチームを次々と追い越していき、あっという間に先頭に立つ。
 そして、そのまま一位でゴール。
 覆面チームは男が気絶したままスタートの位置から動けなかった。
 
 次のBグループも終わり、オレ達のグループの順番が回ってきた。
 
「じゃ、行くか」
「うんっ!」

 ルミナと一緒にスタート地点に行くために立ち上がる。
 
「ま、適当にやってきたらいいよ」
「頑張ってくださいね〜」
「ナオヤさん、応援してますね!」

 レースが終わりここに来た悠が全く心がこもってない感じに言う。さくらとリルも応援してくれた。
 スタート地点に着くと、そこには武器を決めるためのくじが用意してあった。

「ルミナ引いてくれ」
「わかったぜー!」

 ルミナがくじの箱に手を入れる。
 ルミナが引いたくじに書いてあった武器……マジック(水性)……。
 …………そんなもんでどうしろと?

『こちらになりま〜す!』

 司会のお姉さんがマジックをオレとルミナに一本ずつ持ってきてくれた。
 他のチームを見る……。
 ……何か……包帯が巻かれてる木刀とか凶悪な物ばかりなんですけど。
 
「あんなの相手にマジック(水性)でどう戦えと?」
「せめて油性にして欲しいぜー!」
「そういう問題じゃねーよ」

 全てのチームがオレ達を見ていた。つまり……一番弱そうなオレ達を先に倒してしまおうって事だと思う。
 これはもう……アレしかないな。

「おい、ルミナ」
「なに〜?」

 オレはルミナに耳打ちで作戦を伝える。
 
『それでは位置についてください!』

 司会者のアナウンス。
 ルミナと足を確り結び、スタート位置に立つ。

『3……2……1……パァンッ!』

 カウントダウンと銃声。レースが始まった。

「一気にいくぞぉルミナッ!!」
「おぉ――だぜぇ――――っ!」

 スタートと同時に全力で走り出す。
 他のチームがスタートと同時にオレ達のスタート位置に向けて体の向きを変えていたことで、簡単にトップに出ることが出来た。
 後方のチームは戦闘してたりで追いついてくる気配は無い。
 そのままゴール。
 思ったより簡単に決勝に進む事が出来た。
 
「やったぜ――っ!」

 ルミナが拳を天に突き上げて喜んでいた。
 
 次のレース……リルとさくらチーム。
 敵の男がリルに触った事によって怒り狂ったさくらが相手を全員戦闘不能にし、みごと決勝進出を果たした。


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