| ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ 〔悠チーム vs 覆面チーム〕 「ホントしつこいわね。あたしに恨みでもあんの?」 覆面チームに対峙している悠が怒ったように言った。 覆面チームは黙ったまま……。 そして……女の子の方は鋭い眼光で悠を睨みつけていた。 「あたしはアンタなんか知らないんだけど?」 続けて話しかける悠。 「……恨みは……ある。殺したいぐらい……ね」 悠を睨んでいた女の子が答えた。 とても恨みのこもった声色だった。 その声を聞いて考え込む悠。 「どうしたの悠ちゃん? 何か思い当たる事でもあった?」 隣に居た店長が悠に尋ねる。 「思い当たるというか……なんか今の声、どこかで聞いたことあるような……」 言いながらも思い出そうとする悠。 暫くして、 「……で、アンタ誰?」 ――結局、考える事をやめたらしい。 「知る必要はないわよ。貴方はここで死ぬのだからっ!」 悠に向かって人差し指を突きつけ、かっこよくセリフを決める覆面女の子。 「ふ〜ん……でも、アンタの相棒……すでに終わってるわよ」 「――えっ!?」 悠の言葉を聞いて、相方の覆面男の方を見る女の子。 覆面男のそばには、いつの間にか店長がいて、その腹には店長の拳が埋まっていた。 「ちょっと強くしすぎちゃったかしら?」 笑顔で言いながら店長は覆面男の腹から手を離す――すると、その位置についていたバッジが大きな音を発した。 覆面男は、そのまま砂浜に倒れた。 「し、しし――翔君っ!!」 そう叫んで倒れた男に駆け寄る女の子。 「翔君……? 店長! そいつの覆面剥いで!」 「了解〜」 悠もそちらへ走りながら、店長に向かって叫んだ。 悠の言葉に従って、倒れた男の覆面を取る店長。 倒れた男の前で膝をつく女の子の背後に立った悠は男の顔を確認する。 「――ショウ!? てことはアンタは!」 言って、女の子の覆面を剥ぎ取った。 「やっぱり――ショウの超絶ブラコン変態妹未来っ!!」 覆面を取られた女の子――ショウの妹、未来は気絶したショウの頭を抱えて悠を睨んでいた。 「なんでアンタが居るのよ!?」 「それは私が説明するわ〜」 「店長?」 悠が不思議そうに店長を見る。 「実はね……この子、バスの中に忍び込んでたのよ〜。気づいたのは来る途中だったんだけどね」 「忍び込んでたっ!? ぜ、全然気付かなかった……」 「そりゃあ私でも最初は気付かなかったぐらいだしね〜。それで、昨日は私の部屋に泊めてあげて色々話を聞かせてもらってたの」 「なんで教えてくれなかったんですか!?」 「え〜……だってその方が面白そうじゃない」 「お、面白そうって……」 何も言い返さない悠。 この人には何を言っても無駄だと分かっていたから。 「それに、この子もお兄さんに負けず劣らずの変態さんみたいだし」 本当に楽しそうに話す店長。 悠は店長を呆れたように見つめた。 ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ 〔EYES of Naoya〕 背中合わせに立つオレとルミナ。 やっぱり……さくらもリルも攻撃してこない。 それぞれオレ達から二メートルぐらい離れたところに立って様子を窺っている。 「ホントにやるの?」 「ああ、やる。それしかないって……。もし駄目そうなら逃げてもいいから」 小声でルミナと話す。 「それじゃ……いくぞっ」 「わ、わかった……」 そこまで言って、くるり、とルミナと身体の位置を入れ替える。 そして、そのまま……オレはリルに、ルミナはさくらに向かって走り出す。 「――えぇっ!?」 自分に向かってくるオレを見て驚いているリル。 オレはリルの目の前までダッシュすると、リルの水着の上から着ているシャツのお腹の辺りについているバッジ……そこだけに衝撃を与えるために、左手をリルのシャツの中に入れた。 あとは――このまま左手をお腹の位置に添えてバッジを殴るだけ。 「え――ナオヤさんっ!? きゃっ!」 「うわぁっ!」 驚きの声を上げるリル。 まあ、男がイキナリ自分の服の中に手を入れてきたら驚くよな……。 予想はしてたけど……事態はオレの予想を超えてしまった。 「い、痛つつつ…………」 「う、う〜ん……」 驚いたリルはバランスを崩して後ろに倒れてしまった。 オレもつられて、リルに覆いかぶさるように倒れてしまう。倒れた時の衝撃でリルのバッジが反応した。 起き上がろうと地面に手をつく。 「――――あれ?」 地面が柔らかかった。 オレは手をついた地面を見――って、えぇっ!? オレの手は既にリルの服の中に入っていた……そしてオレの下に倒れているリルは真っ赤な顔をしていた。 …………あ、あれ? オレの手がリルの服の中で、柔らかいって……。 動けないオレ。 目の前にあるリルの顔はどんどん赤みを増していく。 「キ、キャ――――――ッ!!」 涙目になってリルが叫んだ。 その声で、やっと身体を動かせた。 リルの服から手を出して離れる。 「い、いや……わ、わわわわざとじゃないぞっ?」 オレは必死になって弁解する。 リルは涙目のまま、しゃがみ込んで胸の前を腕で隠すように包み込んだ。 な、なんか、この状況……オレがリルを襲ってるみたいじゃないか! 「…………大坪……くん?」 背後から声と共に恐ろしいまでの殺気。 振り返ると、さくらがオレを見下ろす形で立っていた。 「な、なんで、さくらがここに――!?」 さくらはルミナが足止めしてるはず。 ルミナには、きっとさくらも手を出せない……そう考えたオレは、オレがリルのバッジを叩くまでルミナにさくらの足止めをしてもらう事だった。 さくらがここに居るって事は、 「まさか――ルミナ!?」 ルミナがやられたって事か!? オレは二人が戦っていた場所を見ようとした……だけど、ルミナはさくらのすぐ後ろからオレの事を細めた目で、冷たい視線で見ていた。 「大坪くん……リルちゃんに何してるんですか? 死にますか?」 「あ、あう……ルミナ!」 さくらが地獄の底から聞こえてきたような低い声で言う。 オレはルミナに助けを求めようとした。 「さすがにあれはないよ……一回さくらにおしおきされた方が良いんじゃない?」 「リル……あれは事故だよな。二人に説明してくれよ!」 「う、うう……グスッ……」 泣いているリル……。 「あ、ああ、あああああああ」 泣いているリルを見たあとは、もう頭の中が真っ白だった。 「言いましたよね……リルちゃんに手を出したらどうなるか……」 ゆっくりと近づいてくるさくら。 「さくらん……アタシも手伝うぜー……」 ルミナもさくらと同じようなオーラを出して近づいてくる。 そして―― 「ぎゃあぁぁぁぁぁぁぁっ!!」 オレの悲鳴が響き渡った。 |