| 目の前に自分のウチが見える。 帰ってきてから気づいたんだけど……アタシ家出中だったんだよね! これは、リルとして行動するしかないね。 「ここがルミナちゃんの家ですか?」 辺りを見回しながらさくらんが言う。 「うん、そだよ。で、アタシがルミナってのは内緒にしてね」 「なんでですか?」 「アタシ家出中だし……って事でボクは今からリルとして行動しますっ!」 「そうなんですか、わかりました。リルちゃんの真似上手いですね〜」 褒められたけど何か……あんまり嬉しくないなぁ。 とにかく、さっさと宇宙船を手に入れてここを出たいよね。 さくらんも普通に見えるんだけど何か怖いオーラ出てるし……。 「じ、じゃあとりあえず中に入りましょうっ!」 「ルミナちゃん、これからはその話し方にする気ないですか?」 「ないよっ! ってかルミナって言うな――っ!」 「地に戻っちゃってますよ」 このマイペース人間め〜……誰のせいだと思ってんの。 うぅ〜……でも、この位で地に戻ってたら親の前で誤魔化せるのかな? 「とにかく行きますよっ!」 「はい、リルちゃん♪」 「はぁなぁしぃてぇ〜〜〜!」 「まぁまぁ、いいじゃないですか〜♪」 リルの話し方に戻すとさくらんは嬉しそうに抱きついてきた。声まで何か楽しそう。 …………リルって毎日こんな事されてたのかな? さくらんと住むのも大変なんだね。なんだかちょっとリルを見直したかも……。 抱きつかれながらも宇宙船が置いてある場所を目指す。 このまま親に会わないのが一番良いんだけどな〜。 「うぅ……ぐしゅっ……シクシク…………オ〜イオイオイ……」 宇宙船が置いてあるはずの部屋から泣き声が聞こえた。 すっっっごい嫌な予感がする……。 聞いた事があるんだよね……この声。というか地球に行くまでは毎日のように聞いてた声だよ。 てゆーか絶対あの人だよ……。 「入らないんですか?」 アタシが扉の前で立ち尽くしているとさくらんが話しかけてきた。 「入りたくないです」 「何を言ってるんですか。入らなきゃリルちゃん達の所に行けないんですよ」 「それは……わかってるんだけど」 「じゃあ、入りましょう」 今までアタシに抱きついていたさくらんは、いつの間にかアタシから離れて躊躇なく扉を開けていた。 「あぅ……ぐずっ……るみなぁ〜……」 宇宙船の前に座り込んで泣いているおっさん……てか、アタシの父親だよアレ。 声をかけたくないです……。 絶対リルの振りでバレないようにしないと。 「あのぉ〜……」 「誰じゃぁい……って何だ、リルじゃないか」 「はい、リルですよっ!」 よかった……さすがにいきなりバレる事はなかった。 「何か用なのか? お前もルミナを追いかけてどこかに行ったって聞いたけど、ルミナをしらないか?」 「えっ!? あ〜……知らないです……」 「何か知ってるなっ!?」 ヤバッ……イキナリで適当な返事しか出来なかったよ。 何か目付きが鋭くなってる。仕方ないからアタシがルミナだって事だけは気づかれないようにしなきゃ。 「知らないですよ。そ、そんな事より宇宙船借りたいんですけど」 「何でだ? 自分の家のを使えば良いじゃねぇか」 「いやぁ……色々あって使えないんですよ」 うわ〜、凄い疑り深い目で見てるよ。 「そうなんですよ。色々あるんです」 さくらんが笑顔で会話に入ってきた。 「お前誰だ?」 「さくらって言います。今リルちゃんと一緒に住んでるんですよ」 「そうか……お前はルミナを知らないか?」 「知りません」 即答だ。 顔色ひとつ変えずに……さくらんって凄いかも。 「お前等、絶対何か知ってるだろ!?」 「ほ、本当に知らないですっ!」 「知りませんよ。というか早く宇宙船貸してもらえませんか?」 微妙にさくらんの機嫌が悪い……? 早く追いかけたいからかな。 「貸して欲しいならルミナの事を教えてくれ!」 こっちも微妙に態度変わってるし……。 「だから知りませんよ」 「なぁ! 頼むよっ!」 さくらんにすがり付く様にして頼み込む我が父。 はぁ〜……情けないなぁ……。 「頼むから教えてくれっ! あんなに愛情注いで育てたのに! 十分以上そばから離れた事も無いのに!? アイツは今何してるん――ぐふっ」 「そんなだから家出なんてされるんですよ♪ だから、さっさと宇宙船を貸しなさい」 「ひ、ひゃい……ご自由にお使い下さい」 やっぱりさくらんって凄い。 パパの顔を鷲掴みにして笑顔で命令して了解させてしまった。 てかその言葉は、アタシの事知ってるって言ってるようなもんだよ……さくらん。 「貸してくれるそうですよ、リルちゃん。行きましょうか」 「は、はい……」 アタシも逆らえずに宇宙船へ乗り込むしかない。 大量の涙で床を濡らしてうずくまっているパパが少し憐れだよ……。 「アレがかつてリルの父親と宇宙最強の座を賭けて戦っていた男の成れの果てか……」 宇宙船に乗り込む時、リュックに隠れていたダディーが顔だけ出してパパを見ながら言った。 そんな話、初耳なんですけど……。 「じゃあ出発しましょうか」 「は、はいっ! すぐに出発します!」 さっきから異様に迫力のあるさくらんの言葉に逆らえず、アタシはすぐさま宇宙船を発進させた。 |