「海賊王に――オレはなるっ!」
「ならないでくださいっ!!」
「ぐはっ――! あれ……オレは一体何を……?」

 軽く頭を小突かれて、正気を取り戻す。
 ああ、そうだ。確かオレ達は宇宙船で目的の星に行く途中で宇宙海賊に襲われたんだったっけ。
 いきなりビームを撃ち込まれて追いかけられたんだよな……というか、今も追いかけられてるんだけどね。しかも相手の宇宙船は何故かドンドン増えてる気がする。
 自動操縦モードじゃ逃げられないって事でリルが操縦して相手の攻撃をかわしている。何故かオレも操縦席に座ってるんだけど……しかも武器とか操る席に。
 あまりの事に現実逃避して正気を失っていたようだ。
 
「リル! 目的の星にはまだ着かないのかっ!?」
「もうすぐです!」

 もうすぐって……着く前に殺されるんじゃね?
 あれだけの宇宙船に一斉にビーム撃ち込まれたらさすがに死ぬって……。

「あっ! 見えてきました!」
「ホントに――ってそれより向こうの軍団の船が何か光りだしたんですけど!? これって一斉射撃ってやつですかぁ!?」
 
 やっぱりオレはここで死ぬんですかっ!?
 リルの言葉通り確かに進行方向にひとつの星が見えている。でも、確実にやつらが撃ってくる方がオレ達があの星に辿り着くより早いだろうな。
 
「な、何か助かる方法はないのか……あいつら全滅させるような武器とか」
「ありませんよ……」
「このまま死んでたまるかぁぁぁっ!!」

 オレは焦って適当にそこら辺のボタンを押しまくる。
 
「ちょ、ナ、ナオヤさんっ!?」

 なんかもう自分が何をしてるのか解らない。
 とにかく必死だ。
 オレの無茶苦茶な操縦で宇宙船からビームやら何やらが乱射される。

「あ、当たっちゃった」

 その中の一発が見事に敵の一機に当たってしまった。
 それで相手を怒らせてしまったのか向こうもビームを今まで以上に撃ち込んできた。

「うわあっ! 今攻撃くらったっ!?」
「ヤバイです! 操縦出来ませんっ!!」

 相手のビームが命中すると同時にリルが叫ぶ。
 操縦きかないって……オレ達死亡確定?
 もう目的の星は見えてるのに…………。

「お、落ちますっ!」

 リルの言葉の通りオレ達の乗る宇宙船は目の前の目的の星に吸いよせられているみたいだ。重力とか何かかな? 吸いよせられるというか落ちてる?
 操縦きかないんだよね? ってことは、このままこの星に着いても墜落するだけだよね?  
 つまり……死ぬよね?
 地面がドンドン近づいてくる。

「いやぁぁぁぁぁっ!!」

 あまりの恐ろしさにオレは女みたいな悲鳴を上げてしまった。  


 ☆ ☆ ☆

「ん……んぅ………」

 オレは見知らぬ部屋で目を覚ました。
   
「あ、ナオヤさん。起きましたか?」
「ん、ルミナ?」

 声のした方を見るとルミナが椅子に座ってこちらを見ていた。
 
「何言ってるんですか? ボクはリルですよ」

 リル…………?
 はっ! そうだ。そういえば入れ替わったんだっけ……。

「アレッ!? 確か墜落したんじゃなかったっけ!? オレ生きてる?」
「はい、生きてます。ギリギリで脱出出来たんですよ。船は粉々ですけどね」

 そうなんだ……。
 良かった、生きてて。生きてるって素晴らしいね。

「――って、じゃあどうやって帰るんだ!?」
「どうしましょうか……ま、何とかなるんじゃないですか」

 随分呑気だな。
 確かにずっと帰らなかったらダディーとかが迎えに来てくれるかな? 行き先も知ってる事だし。

「ていうか……ここどこ?」

 布団から起き上がりながらリルに問いかける。

「この星に住んでる方の家ですよ。気絶したボクとナオヤさんを運んで看病してくれたみたいです。ボクも少し前に起きたばかりなんですよ」
「そうなんだ……家の人は?」
「飲み物取りに行っただけなんですぐに来ると思いますよ」
「そっか」

 話しながらオレはリルの隣の椅子に腰掛ける。
 木造の家にテーブルと椅子も木造。
 何かゲームとかに出てきそうな家だな。

「お待たせ〜! アラ起きたの〜? じゃあコップもう一つ持ってくるわね〜」

 部屋を見ていると誰かが扉から陽気な声を出しながら入ってきた。
 オレが起きているのに気付くと慌てて部屋を出て行った。
 すぐに戻ってきたその人はオレ達の向かいに座ると飲み物を入れたコップをオレ達に差し出してくれた。
 何か……紫の液体が入ってるんですが?

「あ、この家の方でボク達を助けてくれたジェミさんです」

 オレが飲もうか迷っているとリルがその人を紹介してくれた。
 
「ああ……公也です。あの、助けてくれたみたいで、ありがとうございます」
「いいのよ〜。可愛い子を助けるのは当たり前じゃない。寝顔も可愛かったけど起きてもやっぱり可愛いわね〜」

 お礼を言うとジェミさんは身体をクネクネさせながら何か熱い視線を送ってきた。

「か、可愛いって……」
「ナ、ナオヤさんモテモテですね」

 青ざめた顔で言うリルはオレと全く目を合わせようとしてくれない。
 何か凄く……身の危険を感じるんですけど。
 だってオレ達の前に居るジェミさんは……野太い声で筋肉質の身体に剃っても青く見える髭の生えた立派な男だったんだから。 


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