| 目を開けると、そこには古い日本家屋のような造りの物凄く大きな家があった。 キョロキョロと辺りを見回すが、家の果てが見えない……これって大きいとかいう問題じゃないだろ。 「こ、ここが……リルの家?」 「はいっ!」 や、やっぱりそうなんだ……。 もしかしてリルってお嬢様? 「ル、ルミナの家も近いんだよな? 幼馴染っていうくらいだし」 「そうですよ。ルミナはお隣さんです」 「お隣さんって……隣が見えないんですけど……」 「え……、隣の星ですよ?」 な、なんだとぉ――――っ!? お隣さんって星単位でかよっ! てことは、この星は全部リルの家なのか? 「じゃ、入りましょうか」 「そ、そだね」 何かオレが考えてもどうしようもないし……。 オレはリルに言われるままに後についていく。 「これはこれは、ルミナお譲じゃねぇですかい。お久しぶりでさぁ」 屋敷の中に入るとコワモテのオッサンが話しかけてきた。 ハッキリ言って容姿といい話し方といい物凄く怖いんですけど……。 「あの……パ――じゃなくて、おじさんいますかー?」 リルは怖がるでもなく普通に話しかけている。 …………身内なのかな? 「おやっさんは奥の座敷に居まさぁ」 「そっか、ありがとうございます」 「ルミナお譲も随分と礼儀正しくなりやしたねぇ。おやっさんに失礼の無いようにお願いしますよ」 「わかりました〜」 話を終えるとリルは再び歩き出す。 オレも後に続く。リルを見ていたときは結構外見に似合わず穏やかな顔だったのにオレを見るオッサンの目は尋常じゃないぐらい血走っている。 ……と、 「……どうしたんですか? ナオヤさん」 冷や汗をかきながら震えるオレを見てリルが不思議そうに声をかけてきた。 「い、いやぁ……なんでもないんだよぉ」 な、なんか顔が引きつって普通に喋れないぞ……。 そんなオレを心配そうに見ながらもリルはドンドン進んでいく。 そして、大きな 「着きましたよ。じゃ、入りましょうか」 「ちょっと待って……」 「どうしたんですか?」 オレだってここが薄々おかしい事には気付いているさ。 ここを開けたらその答えも出るだろうし……心の準備期間は欲しい……。 大きく何度か深呼吸をする。 「うん。入ろうか」 そしてオレは覚悟を決め言った。 「はい」 リルは返事をすると襖に手をかける。 や、やっぱり怖いかも……。 「入ります」 襖を開けてリルが中に入る。 オレも続いて入ると、そこは広い畳の部屋。 そして奥の方に一人の男性が座っていた。 「おおっ! ルミナ譲ちゃんじゃねぇか! 久しぶりだな、オイ!」 その人は中に入ってきたオレとリルに気付くと気楽そうに話かけてきた。 見た目は20代後半から30代前半に見える……リルと同じ銀髪が腰まで伸びている。ハッキリ言ってイケメンだ。 「遊びに来てくれて嬉しいが、リルは今居ないんだ」 「それなんですけど……パパ、ボクはルミナじゃなくてリルなんです!」 リルがその青年にそう言った。 ――って、パパァ!? この青年と言っていいほど若い感じの人が!? 「……どういう事だ?」 ☆ ☆ ☆ リルはルミナと入れ替わった事について必死に説明した。 リルのお父さんはすぐに理解してくれた。普通信じないだろ、とか思ったがこの人達を地球の物差しで計っちゃいけない。 「だから宇宙船貸してほしいんです」 「いいぜ! リルの頼みは断れねぇ、好きに使えや」 「ありがとうっ! パパ」 「可愛い娘の頼みだ、当然だろ。…………ところでリル」 「なんですか?」 その時、黒っぽかった瞳が真っ赤に輝いてオレを睨みつけていた。 ……勿論その瞳の持ち主はリルのお父さんな訳だけど。 「その男はお前の何だ?」 「何って……地球でお世話になってる方ですよ」 「お、お世話だとぉ〜……まさか一緒に住んでるのかっ!?」 「最初は住ませて貰おうと――」 「なんだとぉぉぉぉ! 小僧ぉ、コロス!」 リルの言葉を最後まで聞くことなく、どこからか取り出した日本刀を構えオレの方に走ってきた。 「うわぁぁ――――――っ!!」 「待てぇ、こんガキャァ! 俺のリルに手ぇ出してただで帰れると思うなよコラァ!」 「ま、待ってくださいお父さんっ!!」 「誰がお 「いやぁぁぁぁぁ!! リルのお父さんってだけですよ!? 他意は無いですからねっ!?」 「黙れっ! この腐れ小僧がぁ……二度と使えんようにしてやらぁ!!」 「な、何をですかぁ――――っ!!」 や、やっぱり……リルの家は極道だぁっ!! その後、オレとリルのお父さんの追いかけっこは三十分程続いた。 ☆ ☆ ☆ リルが何とかお父さんを説得――というか、いつもの光線中で頭を撃って柱に縛り付けていたんだけど――してくれて、オレとリルは宇宙船に乗り込んだ。 …………宇宙船に乗り込むまでがまた大変だった。 ルミナとリルが喧嘩した時、リルがタフな事が分かったけど、お父さんはリル以上にタフなようで、すぐに復活したらしく『オレ抹殺命令』を部下達に下したらしい。 ここに来るまで、その部下……いや、あれは部下なんて生易しい表現じゃダメだ、そう、組員だ! その組員達に追いかけられ、必死に逃げながらここまでやって来たのだった。 「発進しますね!」 リルが操縦席からオレに声をかけてきた。 「は、早く出してっ! 囲まれてるから!」 オレは必死になって叫ぶ。 窓から外を見ると宇宙船は組員によって囲まれていた。先頭にはお父さんも居る。 「小僧ぉ! 出て来ないとぶっ放すぞっ!!」 バズーカのような物を構えているお父さん。 「ぶっ放すなよっ! リルも乗ってんの忘れてるんですかっ!?」 「リルはこのぐらいじゃビクともしね〜よ! ってことでうりゃぁぁぁぁ!!」 な、なんつ〜父親だ……。 娘の乗ってる宇宙船にバズーカ撃ちこむかよ、普通。 「リ、リル――まだかっ!」 「発進します!」 バズーカから発射されたビームが当たる直前にオレ達の乗る宇宙船は飛び立った。 宇宙船の反対側に居た組員達に命中してたけど……多分大丈夫だよな。 「た、助かったぁぁぁぁ……」 「すみません……ボクのパパいつもあんな感じで」 「いいよ、気にしないで……生きてられたんだから」 床に座り込んで安堵した時、リルが飲み物を差し出してくれた。 リルもオレの隣に腰を下ろす。 「本当にごめんなさい!」 「だからいいって……てか操縦しなくていいのか?」 「自動操縦モードです。目的の星まで勝手に行ってくれますよ」 「へぇ〜、便利なもんだな」 さすが宇宙船といったところか。 目的の星に着いたところですんなり薬が手に入るとも思えないし……今のうちにゆっくりしておこう。 「つーか、リルん家って極道だったんだな……」 「あ、あはは…………」 オレの言葉にリルは曖昧に笑っていた。 |